もしもなんて考えたら前に進むことなんてできない。
もしもなんて考えても・・・何が戻るわけじゃない。
もしも・・・・
あの時貴方を守れていたら、今の僕はいなかった?
今こうして・・・・
貴方を愛するぼくは・・・いなかった・・・・
もしもなんて考えて・・・
一人弱くなる僕を・・・貴方は笑いますか?
貴方は・・・怒る?悲しむ?それとも・・・
「なに考えている・・・」
雨の夜は弱くなる。
過去を踏み台に強くなれる・・・
そんな台詞誰が言った?
過去が今の自分を弱くする?
雨の夜に強くなんてなれない・・・・
「雨だなあって・・・」
八戒は自嘲気味に笑って三蔵を見つめた。
三蔵は笑い返すことなどせずに八戒との距離を詰めた。
ただ二人の距離が詰まっただけなのに・・・
ただそれだけなのに・・・体がすくむのが分かる。
後一歩で二人の距離はゼロになる。
八戒はどこか脅えたように三蔵をみていた。
まるで小さな子供のように・・・
揺れる翡翠色の瞳。
三蔵は一つ舌を打つと手を伸ばして八戒の腕を掴んだ。
ビクリと彼の身体が震え、硬直するのが分かる。
アナタハダレ・・・・
「怖いか・・・?」
「・・・・・・・・・・」
コワイ・・・・?
なにが?
雨が?
違う・・・怖いのは・・・
「・・・はい」
三蔵は力ずくでその腕を引き、腕の中に八戒を抱きしめた。
「さ、三蔵!?」
八戒が上ずった声をあげる。
力いっぱいに自分の体を抱きしめてくる三蔵・・・
八戒にはその行動が理解できない・・・
どうして・・・?
「これでもか?」
「・・・・・・・・」
「これでも。まだ怖いのか?」
「・・・・・・」
ネエ・・・ナニガコワイノ・・・・
答えない八戒に、三蔵は低く告げる。
「お前を愛してる・・・」
その途端、八戒はびくりと体を震わせる。
そして・・・・
「離して・・・!!」
悲鳴にも近いかもしれなかった。
声自体は大きくはなくても・・・
暴れる八戒を封じ込め・・・
「・・・・・・っ!!」
八戒は目を見開く。
どれほどの時間なんだろう・・・
一瞬だったのか・・・それとももっと長い時間なのか・・・
三蔵は八戒の唇に、自分のそれを重ねた。
暴れることも忘れ・・・全てを忘れて・・・・
「・・・・どうして・・・・三蔵・・・・」
永遠にも感じた・・・一瞬にも感じたキスの後、八戒は呆然と三蔵を見つめた。
「怖いか?」
繰り返す質問・・・
「いい加減・・・俺を見たらどうだ・・・」
アメノヒニ・・・・アナタヲウシナウコトガコワカッタ・・・・
「・・・ゥん・・・は・・・・ん」
荒く吐き出される互いの息に、部屋の冷えた温度も上昇する。
「・・・三・・蔵・・・」
途切れ途切れにその名を読んで・・・・
「教えてください・・・」
「・・・・・・」
「あなたを・・・・」
「・・・・八戒・・・」
それは甘い誘いかもしれない・・・・
それは悲しい願いかもしれない・・・
いつも、いつでも、もしも・・・なんて考えて・・・
教えて欲しい・・・
今を・・・
深くなる口付け。
始め輪啄ばむように何度となく繰り返し、徐々にそれを深くしていく。
そして舌を絡めあい、互いの呼吸を奪っていく。
すっと唇を離せば二人の間に鈍く光る糸が伸びる。
「お願い・・・三蔵・・・」
教えて・・・
「ああ・・・・・」
抱きしめた体を壁に押し付けて、深く口付ける。
遠くなる雨音・・・・
頭の真までおかしくなりそうなほどに口付けて、三蔵は八戒のシャツをたくし上げ、その素肌に触れていく。
三蔵の手の冷たさに身をすくませる。
「つめ・・・たい・・・」
三蔵は自分の手を温めるように八戒の体に触れ、その細いラインを辿る。
そして胸のあたりにある飾りをさぐると、八戒の体がびくっと震える。
「やぁ・・・ん・・・は・・・」
感じたことのない甘くしびれるような感覚に耐え切れずに声を漏らす。
「いい声出すじゃねえか・・・」
どこか笑いを含んだ声に、かあっと一気に体の熱が上がるのを感じた。
「さんぞっ・・・あぁ!・・・ん」
抗議を申し立てようとした瞬間に、三蔵は八戒の白い首筋に噛み付き、舌でゆっくりとなぞりあげる。
その間にも掌は胸の飾りをもてあそんで・・・八戒を未知の快楽へと導いていく。
「はぁ・・・ふぅん・・・は・・・」
あがる声を抑えることもできず、鎖骨を辿り、時折強く吸い上げては所有の印を刻む三蔵の金の髪を引っ張る。
上手く力の入らないその行為は、三蔵に確実に自分の快楽を伝えているようだった。
シャツを上までたくし上げると、硬くとがるその部分を、今度は口に含み、舌で転がしたり押しつぶした理を繰り返す 。
「や・・・!あぁ・・ん・・はぁ・・ふ・・んぁ」
力が入らずにたっているのも辛くて、八戒は三蔵の名を繰り返した。
「さん・・ぞ・・おねが・・・も・・・」
途切れる声に、三蔵はその部分から顔をあげ、汗ばんだ額に宥めるようにキスを落とし、八戒を抱えあげて簡素な 宿のベッドの上に降ろす。
きしんだ音を立てて、スプリングが二人の体重を受け止める。
「八戒・・・」
名をよんで・・名をよんで・・・
ここにいるよ・・・
「三蔵・・・」
互いの服をもつれるように脱ぎあって・・・
「はぁ!・・・あぁ・・ん」
胸の飾りを舌で転がし、もう片方を掌で遊ぶ。
ひっきりなしにあがる声に耳を傾け、三蔵は八戒を追い詰めていった。
切羽詰ってくるその声に、そこをようやく解放し、涙に潤んだ瞳にキスを落とす。
至近距離で向き合い、互いの瞳を見つめあい・・・深く口付ける。
片方の手をそっと下へ伸ばして、存在を主張する彼へと絡める。
「・・・・っ!!」
唇をふさがれて声をあげることもできずに、はねる体を抑え、三蔵はその手の動きを激しくしていく。
「や!やめ・・・さ・・・ん・・ぞう!あぁああ」
直接の愛撫に、今までよりもどんどん乱れていく・・・
はじめてみるその姿に三蔵のよくも膨れ上がる。
愛情か・・・征服欲か・・・
八戒が髪を振り乱せば飛び散る汗が月の光に輝いて見える。
それがまるでスローモーションのようで・・・
募る愛しさをとめることもできず・・・
全てを喰らい尽くして己だけのものにしたくなる・・・黒い愛情。
全てのものから守り、包んでやりたいような・・・白い愛情・・・
二つが混ざり・・マーブルのように・・そして完全に混ざり・・・灰色な愛・・・
教えて・・・これは罪?
背徳・・?
構わない・・・・
前を刺激していた手を後ろへ回し位置を確認すると、ゆっくりの沈める。
「・・・・・・・・っ!!」
声にならない悲鳴をあげて、八戒は身を仰け反らせる
「八戒・・・大丈夫か?」
その様子にそうとえば、必死で息を整え、
「だいじょ・・うぶ・・・おね・・がい・・・やめないで・・・あ・・」
「しかし・・・」
「いい・・・貴方が・・・分かる・・から・・・さんぞ・・・う」
途切れ途切れに紡がれた言葉。
お願い・・・教えて・・・
あなたを教えて・・・
「力・・・抜いて置けよ・・・」
そっと慈しむようにキスを降らせて、三蔵は八戒の足を抱えあげ、
一気に貫いた。
「っ・・・あああぁぁ・・・!!」
一際高く鳴いて、八戒の翡翠の瞳から涙が溢れる。
「・・・・っつ・・」
きつく熱くからみつく内壁に、三蔵は彼自身に指を絡める。
「あ、あ・・あ・ああ・・やぁ・・は・・・」
体の中で暴れる灼熱を、どうすればいいのか分からない。
助けを求めるように伸ばされた腕を、三蔵は自分の背に回させる。
「八戒・・・!」
「やぁ・・・は・・ふぅ・・んん・・は・・・」
「目をあけろ」
「あ・・くぅ・・・さん・・ぞ・・」
紫電の瞳は真っ直ぐに翡翠のそれを貫く。
「俺を見ろ」
「さん・・は・・・あぁ・・ぞ・・う」
途切れ途切れに呼ぶ名前。
それは音楽なんかじゃない。
言葉でもない・・・
存在なんだ・・・
翡翠の瞳が、自分を見た。
それをみて、三蔵は深く口付けると、腰の動きを早め、一気に絶頂まで導く。
強く叩きつけ、最奥を貫く。
「や・・・はぁああああぁぁ!!」
二人同時に全てを放ち、溶け合うようにシーツの海に身を沈めた。
もしも雨がふっていなかったら・・・
もしも僕がしっかりあなたをみていたら・・・あなたはどうしたのだろう・・・
ねぇ・・・三蔵・・・
「・・・・ん」
「気がついたか?」
「三蔵・・・」
気がついたときはまだ真夜中で、三蔵の腕に抱きしめられたままで・・・・
夢では・・・なかったと伝える。
「大丈夫か?」
「・・・・・はい」
力の入らない体をずらして、三蔵に目線を合わせる。
外はまだ雨が降っているようだったが・・・不思議とその音が優しく感じた。
「僕は・・・」
あなたを愛している・・・
もしもあの雨の日に、全てを失わなければ・・・・
もしもあの雨の日に、生き長らえていなければ・・・
貴方に出会うことすらなかった?
もしも、もっと早く気がついていれば、雨を好きになれました?
「最近、もしもばかりなんです」
「・・・・・」
「今を受け入れることができなくて、もしも、もしもを繰り返して・・・」
「・・・・・・・」
「でも・・・・もう大丈夫そうです」
「八戒・・・・」
「貴方を見れたから・・・」
綺麗に微笑んでそう告げて・・・・
あの時、貴方が見えたから。
『俺を見ろ』
そう言ってくれたあなたを・・・
しっかりと見れたから。
貴方が、現実・・・・今だから・・・
「愛してます・・・三蔵」
「八戒・・・・」
少し遅くなった・・・告白。
あなたを・・・教えて・・・
「俺もだ・・・」
ずっと・・・・
もしもなんて考えたら前に進むことなんてできない。
もしもなんて考えても・・・過去は何一つ変わらない。
もしもあなたを愛さなければ・・・もしも貴方が愛さなければ・・・
今を教えて、あなたを教えて
もしもなんて・・・考えたくはないから。・・・
貴方という今を見れたなら・・・
今をみて・・・歩き出せる・・・
手を引いて・・・
あなたを教えて
ねえ・・・もしも・・・・
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―了―
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「Freebule」(閉鎖)様にて裏4200hitのキリ番を踏んだ時のリクエスト品。
リク内容は、ズバリ『初めて♪(爆)』という・・・(身も蓋もない;)
阿呆なリクにも拘らず、こんな素敵なssを書いて下さいました♪
河村くるみ様、本当に有難うございました! |

「懐かしい!」という方も、「こんなサイトあったんだ」という方も、読んだらぽちっと↑
同志の輪を広げましょう♪ |