何度抱いても…
何度口付けても…
何度愛しても…
この気持ちに再現はなく、何処までも己を支配していく愛情…
いや…それは愛情といっていいのだろうか…
もはやそれさえわからなくなっていく。
他の誰かを見る視線。
他の誰かに向ける微笑みも、声も、愛情も…
全てをさえぎってしまいたくなる…
自分自身でも寒気がするほどその感情は強くなっていく。
いっそ殺して自分だけのものにしてしまいそうなほどに…
制御の聞かない思いに鳥肌が立つ。
いつか自分が彼を…
八戒を殺してしまうのではないのかと思う…
自分ともう一人、殺してでも自分のものにせよと良くのままに愛情を貪る自分がいる。
逃げてくれ…
傍にいてくれ…
二人部屋になれば必ず三蔵は八戒との同室となるように仕向けた。
彼を疑うわけじゃない。
けれど悟浄とも、悟空とも同室にしたくなかった。
自分でもわからないほどに強い独占欲…
「三蔵?」
八戒はベッドに座り、一人考え込むように窓の外を見ていた三蔵の前に立つ。
「どうしたんですか?最近おかしいですよ?」
「お前なら・・・どうする…」
「はい?」
「お前なら気がついているはずだろう?何故逃げない?」
三蔵の八戒に対する執着が、独占欲が三蔵自身でもコントロールできなくなってきていることに、八戒ならば気がついているはず…
なのに、何故彼は自分の傍にいるのか…
「僕の意思だからです」
「……」
「僕があなたの傍にいたいと思うからです。いけませんか」
三蔵は小銃を八戒に向ける。
この至近距離ではいくら八戒でも交わせるはずなんてない…
けれど八戒は逃げることなどしない。
明かりの落ちたこの部屋で…
月光の照らす二人のシルエット…
それは恋人同士のシルエットとは遠く…
「このままでは俺がお前を殺すかも知れんぞ…」
自分だけのものに…
「それであなたの気がすむのなら…殺してください」
八戒の言葉は静かに闇に溶け込んだ
八戒は床に膝を付き、銃を握る三蔵の手に自分の手を重ね、その銃口を自分のこめかみに押し付けた。
三蔵は黙ってその彼の様を見ていた。
「ただね、三蔵…これだけは忘れないで下さい」
「・・…」
「あなたが僕を殺して自分のものとするのなら、思い出にしないで下さい」
「………」
闇に八戒の翡翠色の瞳が揺れた。
強くも儚いその色は…
次に紡いだ言葉の意味よ…願わくば闇に解け…
「僕を思い出としたならば、僕はあなたを殺しに来ます」
三蔵は目を見開いた。
八戒の瞳に嘘はなかった。
殺しても構わない…
けれどそれならば死ぬまで存在しなくなった彼を見つづけていく…
現実に気づき前を見たなら、彼に地獄からでも殺される…
「独占欲が強いのは、お互い様かもしれませんよ…」
八戒は言葉を言い終えると同時に三蔵の唇に自分のそれを重ねた。
ゴトリと硬い音を立てて、小銃が木造の床の上に落ちる。
銃を握っていた三蔵の掌は八戒の髪に伸ばされ、八戒は主導権を三蔵に委ねる。
引き込むようにベッドに引き倒され、冬の空気に晒されて冷えたシーツは硬質な音を立ててなる。
「八戒…」
きしんだスプリングの弾みで離れた唇。
至近距離だ三蔵は八戒の瞳を覗き込む。
溺れる…翡翠の波に飲み込まれて…
息もできないほどに…
でも構わない・・・
人は皆。元は天使であったと誰かはいった
けれどその羽が白いと誰が言った?
もしも自分に羽があるなら…そして彼に羽があったなら…
「うん…はぁ…あ」
息が上がっていく…
冷えた部屋を二人の熱が上げていく…
シーツの波に身を任せて…
「さんぞ・…う・・」
途切れる声。
三蔵はすでに硬くとがった胸の飾りを舌や掌で転がし、上ずっていく八戒の声を楽しむ。
綺麗に浮き出た鎖骨に舌をはわせて、強く吸い上げれば花びらのような跡を残す。
そのまま体をずらしていくと震える八戒自身に手を伸ばす。
「ひゃうっ!…はぁ・・ん!」
強い快楽にあがる声は悦楽を呼び起こしていく…
緩慢な動きでそれを扱ってやると、八戒からは途切れ途切れの甘い喘ぎがもれていく…
これは自分にだけ許された行為…
自分だけの八戒…
ゾクリと背筋を駆け抜けるような感覚。
これを愛と呼ぶのか…
愛してる…全てをさえぎりたくなるほど…
愛している…殺したいくらいに…
愛している…誰よりも…
そして…自分だけを愛して…
殺したいほどに愛して…
誰よりも愛して欲しいと・・・
喰いつくように三蔵は今まで掌で遊んでいたものをくわえ込む。
「はぁあ!!」
強い刺激に八戒は背を仰け反らせ、息を詰めた。
舌先で先端を突付いたり、全体を包み込むように舌をはわせたり…
「やあぁ…ゥん・・あっ・・・さんぞ…」
あがる声に彼の限界を知ると、三蔵は焦らすことなく強く吸い上げた。
「はぁ!!」
身を震わせて八戒は三蔵の口内に欲を放つと荒く息をつく。
まだ快楽の波の中で余韻覚めぬ状態の八戒は何処か焦点が定まらず、上気してほんのりピンクに染まった彼はなんとも官能的で…
三蔵は八戒の膝を押し上げると彼の体を折り曲げるとようにしてそこに見える最奥に
指を潜り込ませた。
「ヒッ…」
短く悲鳴をあげて八戒は身を硬くした。
何度体を重ねてもなれることのない感覚…
「八戒…」
すでに濡れそぼったそこは指をいとも簡単に飲み込んだ。
三本に増やした指をばらばらに動かしポイントをつくと、八戒からはひっきりなしに甘い喘ぎがあがる。
「さ・・んぞ・・も…」
髪を振り乱し、なき濡れた瞳で懇願する。
自分にしか見られない八戒…
それだけで三蔵の欲は膨れた。
「もう…なんだ?」
「・・んな…」
言うことをためらう八戒に三蔵は意地悪く笑って指の動きを早めていく…
「やあぁっ…あっああつ…」
「もう?何だ…言ってみろよ…」
快楽に解けた瞳で八戒は何とか言葉を紡ぐ。
「来…んぅ・・来て…くださ・・はあ…」
途切れる言葉に、それでも告げた八戒に気を良くし、三蔵は宥めるような優しいキスを送る。
ゆっくりと指を引き抜き、熱く昂ぶった自分を押し入れる。
「ひぁあ!あぁぁん・…」
待ち焦がれた熱い欲望が自分の中を動き回る。
自分の中の灼熱をどうにかしたくて…
八戒は髪を振り乱し、泣き叫んで腰を揺らす。
飛び散る汗。
それはもうどちらのものなのかはわからないほど、二人は灼熱と快楽の海に身を投じた。
「八戒・・」
三蔵は強く八戒の望むまま、そして自分の欲望のままに何度となく彼を貫いた。
そして彼を呼びつづける。
もう言葉はまともに届かないとわかっているのに・・それでも呼びつづけた。
「さん・…ぞ…」
快楽に狂いながら、それでも八戒は三蔵をよんだ…
そして最奥を貫かれ、全ての欲を放ち、三蔵もほぼ同時に八戒の中に欲を放った…
全て「愛」というなのもとに許されるのなら、
この黒い感情も愛として許されるだろうか…
愛している…
誰も見ないで…
おまえしか見えない…
自分でも怖くなるこの感情…支配していくされていく…
けれど銃口を向けた俺にお前は笑った。
そして知った、俺もお前も黒い愛を持っていたと…
もしも俺もお前も、羽を持っていたのなら、きっとそれは…
朝、目が覚めると枕もとに落ちていた…闇より深い黒い色。
漆黒の羽
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―了―
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「Freebule」(閉鎖)様にてキリ番を踏んだ時のリクエスト品(裏頁で踏んだので裏仕様)。
リク内容は、『ダーク風味、独占欲を抑えきれなくなってしまう三蔵様』。
場合によっては鬼畜に走りそうな内容も、見方を変えればあら不思議、三蔵様も三蔵様なら八戒さんも八戒さんよね、という・・・やはりこの2人は似たもの夫婦なんですね(え)♪
河村くるみ様、本当に有難うございました! |

「懐かしい!」という方も、「こんなサイトあったんだ」という方も、読んだらぽちっと↑
同志の輪を広げましょう♪ |