西へ向かう途中で立ち寄ったのは、地図に乗っていない小さな町。三蔵の銃弾の補充(と夕飯)の為に、三蔵が提案した。
いつもは寄り道など1番嫌うくせに。
町に向かう途中、あの悟空でさえ気味悪がった、人工的に作られた岩が一行を出迎えてくれた。それがこの先に起こるであろう厄介ごとを漂わせていたのは言うまでもない。
野宿する事もなく、一軒の小さな宿に辿り着いた一行は、美味しい料理と美しい女性 ― 希紗と言った― の歓待を受けた。
食事を堪能した後、部屋割りの段階になって悟空と悟浄が揉め始めたのはいつもの事だ。
「この間、寝てる俺の背中蹴っただろ! エロガッパ!」
「てめえの寝言が煩せえからだろ、このサル!」
「サルって言うな!」
「じゃ、何て呼べばいーんだよ? バカか、チビか? マヌケってのもあるぞ」
挑発する悟浄に悟空が掴みかかる。そんな2人を八戒は呆れた様に見ていた。
「どうします、三蔵?」
「別にどうもしねえよ」
バカはほっとけ、と言いながら、自分と八戒の荷物を取り、八戒に向かって荷物を投げ渡す。
「行くぞ」
「そうしますか」
未だケンカを続けている2人の横を擦り抜け、もう一つ宛がわれた部屋へと移動した。
もちろん部屋の扉に鍵をかけて、『起こしたら殺す』とメモを残して。
自分の荷物を窓際のベットに放り投げると、その横に腰掛けタバコに火をつける。八戒は残されたベットの脇に荷物を置くと、
「お風呂、先に借りても良いですか?」
「ああ」
八戒は小さく笑って
「それじゃ」
と着替えを持って浴室へと消えていった。残された三蔵は窓を開け放ち、静かな夜をじっと見つめていた。
30分程した頃だろうか、八戒が浴室から出てくる。
「お先でした」
三蔵はタバコを消すと立ち上がり、八戒と入れ替えに浴室へと消えて行く。その後姿を八戒はじっと見つめていた。
「飲みませんか?」
風呂から出てきた三蔵を待っていたのは八戒と酒瓶だった。怪訝そうな顔で八戒を見る。
「いつの間に……」
「三蔵がお風呂に入っている間にね、希紗さんから頂いたんです」
三蔵はテーブルに近づくと椅子に腰を下ろす。そしてグラスに注がれた透明な液体を口にした。芳醇な香りとサラリとした口当たり。期待以上の美酒だった。
「……悪くない」
「本当ですね」
八戒も感嘆の声をあげる。窓から見えるキレイな月が、酒をますます美味い物にしてくれる。
しばらく静かに飲んでいた。すると八戒が口を開く。
「三蔵」
「なんだ?」
「ひょっとして僕を誘ってます?」
突然の言葉に、三蔵は不機嫌になる。
「何を言ってる?」
「だって、部屋割りで僕を選んでくれたじゃないですか。しかも鍵までかけて、『開けるな』と張り紙までして」
「俺は静かに眠りたいだけだ」
「僕と一緒の部屋で、静かに眠れるわけないでしょう? 三蔵、貴方だって知ってるじゃないですか」
確かに否定は出来ない。だが、首を縦に振るわけにもいかない。三蔵は何も言わずグラスを空ける。
不意にその手首を掴まれた。八戒だ。キッ! と彼を睨みつける三蔵。だが、八戒の熱が篭った眼に、さすがの三蔵も身体が跳ねるのを止めることが出来なかった。
掴まれた手首が熱い……。
「離せ」
何故か声が擦れてしまう。
「嫌です」
八戒は掴んだ手首をそのまま自分の方へと引き寄せた。そして、三蔵の後頭部にもう片方の手を添えると、そのまま彼の唇に口付けた。
酒の香りがするキス。唇を舌が割って入り、中で蠢く柔らかい舌と絡め合う。キレイに並んだ歯列をなぞり、口内を犯す。
「……はあ……」
静かな室内に漏れた声は、どちらの声だったのか分からない。八戒の唇は三蔵の頬へ移動して、そのまま耳へ。耳を甘噛みして舌で舐めまわす。濡れた音が大きく聞えるたび、三蔵の身体は大きく跳ねた。
崩れ落ちそうな三蔵の身体を支えたまま、首筋に赤い印をつける。
「……痕……つけるな……」
「所有の印ですよ」
笑いを含んだ八戒の声。三蔵は彼を睨みつける。
「『誰』の『所有物』だ?」
だけどその声は微かに震えていて……。
「そんな潤んだ瞳で睨まれても怖くありませんよ」
そして伸びた爪でアンダーウェアの上から胸を翻弄する。三蔵は与えられる快感に、唇を噛み締めて耐えた。
「素直になってください」
八戒の優しい声が耳元で聞える。
「声を聞かせて……」
「誰が……てめえになんか……聞かせるかよ……」
「誰なら良いんです?」
「な……に……?」
「『誰』になら聞かせるんです? 貴方の声を。誰の腕の中でなら啼くんです?」
「は……かい……」
「僕の腕の中で啼いて……」
そして三蔵の中央部をいきなり掴みあげる。
「ああ!」
堪えきれない声が濡れた口から迸る。八戒は掴んだソレをゆっくりと揉みしだき、掌と指先で翻弄する。柔らかかったソレは徐々に意思を持ったように固くなり起ち上がる。見計らった様にジーンズのファスナーをすばやく降ろすと、中から形状を変えたソレを取りだし、愛しそうに口に含んだ。
「は! ……あ……ああ……」
八戒の柔らかい唇と滑らかな舌で愛撫され、久し振りの快感に三蔵は爆発寸前だった。ビクリと奮えるのを鋭く感知した八戒は、根元を握り締める。イキたくてイケない状態になった三蔵は、愛欲で濡れた瞳で睨みつける。
「は……か……」
「ダメですよ。1人でイクなんてずるいじゃないですか」
八戒は三蔵の身体を抱きかかえると、すばやく三蔵の衣服を剥いで傍らのベットに寝かせる。そして自分も着ている物を脱ぎ捨て、三蔵とは逆の向きで馬乗りになった。
「三蔵、僕も気持ち良くしてください。貴方のその唇で……」
目の前に突き付けられた八戒自身は硬くなり、小刻みに別の生き物の様に震えている。三蔵は固く目を閉じると、おずおずと舌を伸ばし、八戒を咥えこんだ。そして舌で舐めあげる。
八戒も三蔵の足を大きく開かせ、根元を押えこんだまま再び愛撫を始めた。ピチャピチャと湿った音が、静かな室内に響き渡る。
「いい……ですよ……三蔵……」
そして八戒は自分の人差し指を舐めると、三蔵の秘部にそっと宛がった。何者の進入も許そうとしないソコを、何度も何度も撫で上げて解して行く。やがて開きかけたソコに指を挿入した。
「あああ!」
三蔵の身体は大きく跳ねる。
「三蔵、口が留守です」
荒い息の八戒。三蔵は再び八戒を咥える。だが、下部に与えられるどうしようもない刺激に、咥えたまま動くことが出来なかった。挿し入れた指で抜き差しを繰り返す八戒。指を軽く曲げて三蔵の性感帯を刺激してやる。
「ああああ!!」
グチャグチャと厭らしい音が聞こえ始める。ゆっくりと指を抜いてやると、柔らかいソコが、八戒の指を離さまいとするかのようにしがみついてきた。その感触を確かめて八戒は満足そうに微笑む。
三蔵の身体から降りると、大きく息をしている三蔵を起こし、ベットの上に座った自分の上に、三蔵を跨がせた。
クチュッという音と共に、三蔵の中に八戒が飲み込まれていく。
「あ……や……あ……ああ……」
八戒を全て飲みこんだ後、2人は大きく息を吐いた。向かい合った状態の三蔵の、汗で乱れた髪をそっと撫でつける。
「貴方の中に入っているんですよ。僕が全て……」
三蔵は真っ赤になると俯き、大きく首を横に振った。
「分かるでしょう? 貴方の中で僕が蠢いているのが」
言われなくても分かっていた。感じる。八戒を感じる。確かに入っているのだ。『入っている』という表現は露骨過ぎて好きではないが、その表現しか表しようがなかった。
八戒は三蔵の腰を抱くと、ゆるゆると動き始めた。何度も何度も三蔵を突き上げていく。そのたびに三蔵は嬌声を上げ、快感の波に飲まれていった。奥を何度も何度も刺激され、未だに根元を押えつけられているソコは、自分と八戒の下腹部に擦られて、どうしようもない状態まで追いこまれていた。
「いい……ですか……?」
「あ…い……い……も……や……」
「嫌なんて……嘘でしょ……? 僕を……締めつけてますよ……?」
「ああ……はっか……も……い……あ……」
「僕も……もう……あ……」
八戒は今まで押えつけていた三蔵を放してやると、嬌声と共に勢いよく白い液体を放出した。そして八戒も三蔵の中に解放する。
ぼんやりと眼を覚まし、天井の木目をじっと見つめる。
「眼を開けたまま寝てんじゃねーよ」
不意に聞えたその声に、昨夜の情事は嘘だったのではないかと、いつも思わされる。
「眼を開けたまま寝るなんて、そんなに器用じゃありませんよ」
「じゃあ何なんだ?」
「…見なれない天井にもようやく慣れて来たなって思って…」
「……寝ぼけてんじゃねーよ」
「寝ぼけてるわけじゃないんですけど」
苦笑して八戒は起きあがる。既に身支度を整えた三蔵が新聞を捲っていた。
一糸乱れぬその姿。やはり昨夜は夢だったのだろうか……?
だが、自分が眠っているシーツには、確かに昨夜の名残がある。
八戒は満足そうに微笑むと手早く着替えた。そして三蔵の横を通って窓際へ。
窓を開くと朝の清清しい空気が室内に流れ込んできた。
「いい朝ですね」
三蔵を振り返った途端、賑やかな声がドアの向こうから聞える。
― また賑やかな1日になりそうですね
八戒は三蔵に知られない様に、静かに苦笑した。
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―了―
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「TOM FOOL」様にてキリ番83838(笑)hitを踏んだ時のリクエスト品♪
リク内容は、『公式小説3巻「螺旋の暦」、宿の張り紙の向こう』・・・同時期に方々で同じ内容をリクしております;
(補足説明:宿に入って部屋割りをきっかけに喧嘩を始めた5&9を尻目にさっさと同室を決めて部屋へ入った3&8、気付いた5&9がその部屋へ行くと、ドアに『起こしたら殺す』という張り紙が・・・という、本筋とは関係ないけど38&83に超美味しい内容)
攻め側が嫉妬すると厄介なのは共通ですが、八戒さんの方がよりヒートアップしやすいかも。そんなところも八戒さんの魅力♪
神守 叶夢様、有難うございました! |

「懐かしい!」という方も、「こんなサイトあったんだ」という方も、読んだらぽちっと↑
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