「三蔵。貴方のことが好きです───」
目の前に、何かを決心した、だが少し頬を紅潮させた八戒の顔が映る・・・・・。
ガバッ!
三蔵の体が、何かに弾かれたようにベッドから起き上がった。
辺りを見渡して、部屋に自分1人しかいないことを確認すると、片手で頭を抱えて一人ごちた。
「最悪だ・・・」
あまりの目覚めの悪さに、三蔵はベッドを降りるとバスルームへ入り、今見た夢を頭から洗い流そうと頭からシャワーを浴びた。
だが、ちらつく八戒の顔とあの言葉は、まるで霧雨のようにまとわりついて離れない。
「くそ・・・なんであんな夢なんか・・・」
バスルームから出て窓の外に目をやると、さっきは気が動転して気づかなかったのだが、不快な音を立てて雨が降っていた。
─雨・・・これの所為か。そういえば、あのときも雨だった・・・。
一週間前・・・。
サー・・・─────。
外は暗雲が垂れ込めて、空から降りる灰色のカーテンが視界を制していた。
ジープで移動中の急な雨。運良く町が見えたので、いそいで町へ入り、見つけた宿屋に全身びしょ濡れで転がり込んだのだ。
都合よく個室が取れ、それぞれの部屋のバスルームでシャワーを浴びて着替えを済ませた。
三蔵がバスルームから出ると、すでに着替えも済ませた八戒が椅子に座って待っていた。
「今日は止みそうもありませんね」
タオルで頭を拭いている三蔵に、ため息混じりにそういうと、
「・・・あぁ」
三蔵も気だるそうに返した。
八戒からタバコを受け取って、ベッドの上に座ると火を灯す。
いつからか、雨の日は2人でこうして過ごすようになった。
お互い、雨が苦手なことは十分に知っている。
それぞれ理由は違えども、どこか共通するものが自分のそばにいると思うと、心なしか安心するのは、人間の心理だろうか。
互いの前では、自分の弱いを出しても、それを咎められることはない。
それに気づいたのは、ほんの最近だ。
一緒にいると安心できる。この気持ちはなんなのだろうか・・・。
そんな中で言われた言葉、
「貴方のことが好きです・・・」
雨の音がそれに重なって、三蔵の耳の奥に残った。
あの時、言葉だけ残して八戒は部屋を出て行った。
返事はいつでもいいと言って、笑って出て行った。
残された俺はどうなるんだ?
あれから、頭の中に霧がたちこめたような、もやもやとしたものがまとわりついてすっきりしない。
ただあるのは、心にぽっかりと穴のあいたような寂しさだった。
そして、今日も雨が降っている。
部屋には自分1人だけ。
久しぶりに、雨の中1人で過ごした。
不安が、心臓を鷲掴んで三蔵を離さない。
そして、八戒の存在を求めた・・・。
「で、俺に用って?・・・もしかして、愛の告白とか?いやん、困っちゃうわー」
夕飯が終わって、三蔵は部屋に悟浄を呼んだ。
一週間、心のもやもやを持て余していた三蔵は、処理しきれないこの気持ちを誰かに払拭してもらいたくて、だけど八戒には言えるはずもなく、悟空にいたっては話しても無駄。で、結局、不本意ながら悟浄を呼んだのだ。
だが、どうやら人選を誤ったようだ。
「死ね」
悟浄の鼻先に銃口を向ける。すると悟浄は、両手を挙げて降参のポーズを取ると、
「って、冗談だっつーの。その物騒なもんしまってくんない?相変わらず冗談が通じない奴だな」
「貴様自体が冗談だろうが」
「・・・それってひどくね?」
わざといじけた振りをする悟浄を横目に、三蔵は何本目かのタバコに火をつけた。
それを、椅子に座った悟浄が見つめる。
三蔵は、切り出すタイミングを掴みかねていた。
話す内容が内容なだけに、どう言っていいのかもわからない。そもそも相談しようとしたのが間違いだ。話す前から後悔の念が三蔵を襲う。
そんな三蔵に、悟浄の方から口火を切った。
「八戒のことか?」
ぎくりとして悟浄の顔を見つめる。
「図星・・・みたいだな」
にやりと、口端を上げて三蔵を見返した。
「どうせ、お前のことが好きだとかなんとか言われたんだろ」
「何故わかる?」
「そりゃな、見てればわかる」
とは嘘である。悟浄は、八戒にすでに言われていたのだ、
『僕、三蔵に告白したんです』
と。
「で、お前はどうなんだよ。その調子だと、まだ何も言ってないんだろ?」
「あぁ・・・」
「どうするつもりな訳?」
「・・・・・・・・・・」
「ま、決まってたらわざわざ俺を呼ばない、か」
悟浄は両手を頭の上で組むと、椅子の背に寄りかかった。
「いいんじゃねぇの?誰のことを好きになろうが、本人の勝手だしよ」
「だが、俺は男だ。八戒も・・・」
「じゃぁ、断れば。俺には男を好きになる趣味はねぇってな。けど、そーじゃねぇんだろ?」
「それは・・・」
─ったく、気持ちなんざ決まってるようなもんじゃねェか。
言葉を濁している三蔵を見て、悟浄は内心で肩をすくめた。
「今の、お前の気持ちを素直に言えばいいんじゃねぇの?少なくとも嫌いじゃないんだろ?」
「・・・・・・・・」
無言のまま、三蔵は首を上下に動かした。
「だったらいいじゃねぇかよ。八戒も好きだっていってんだ、両想いいじゃねぇか」
「だが・・・」
それでもまだまごついている三蔵に、悟浄は椅子から立ち上がると三蔵に詰め寄った。
「あのなぁ、いまさらもたついても何も始まらないぜ。お前がそんなんじゃ、折角のあいつの決心が台無しじゃねェか。あいつの方が気の毒だぜ」
「気の毒?」
「あぁ。あいつもあいつなりに決心して言ったんだ。お前が、イエスなりノーなりなんでもいいから返事を返さないで逃げてばっかりいちゃぁ、あいつが気の毒だって言ってんの」
「俺は逃げてるわけじゃ・・・」
「返事も返さないで、身の振り方を俺に相談して、俺に結論を出させようとしてるんだろ?それで、俺の言ったとおりにしようってわけだろ?他人任せもいいところじゃねぇか。それを逃げてるって言わないで、なんてゆーんだよ」
「・・・・・・」
「今、八戒なら部屋にいるぜ」
三蔵の顔色を見て、悟浄は先手を投じた。
「行ってやれよ、行って、お前の気持ちを洗いざらいぶちまけてやれば良いじゃねェか」
悟浄のはっぱが利いたのか、三蔵はベッドから立ち上がり、扉のところまで足を進めた。
扉を開いて部屋を出ようとする直前、その足を止めて肩越しに悟浄へ言葉を投げた。
「呼び出して悪かったな・・・」
受け取った悟浄は、
「へっ、お前に礼を言われるほど、背筋が凍るものはないぜ」
と、悪態をつくも、背を向けたまま片手を挙げて、三蔵に答えた。
パタン───。
「ったく、世話のかかる奴らだぜ・・・」
後ろで扉の閉まる音がしたのを確認して、悟浄は苦笑を漏らしながらつぶやいた。
コンコン・・・・・・。
誰かが八戒の部屋の扉を叩いた。
「どなたですか?」
椅子に座り、文字を目で追っていただけの本にしおりを挟むと、扉の向こうにいる人物に声を投げた。
「・・・俺だ、入るぞ」
静かに扉が開いて、三蔵が部屋の中に入ってきた。後ろ手に扉をそっと閉める。
「どうしました?」
思わぬ客の来訪に、内心の動揺を押し隠して、八戒は三蔵に対した。
「・・・・・・・・・・」
三蔵は、ここまできたはいいのだが、言うべき言葉が見つからない。
しばらくの間、部屋には2人にとって不快でしかない雨の音が支配していた。
「雨・・・」
やっとのことで搾り出した声は普段の彼からは決して出ないであろう、頼りない声だった。
「雨は、止みそうもないな・・・」
「・・・そうですね」
カーテンで隠された窓の外、2人の視線は自然とそこにいってしまう。
「八戒・・・」
「はい?」
三蔵は俯き、そのまま言葉を綴りだした。
「何で今日、部屋にこなかった?」
「三蔵・・・」
「こんな日は、お前がいないと不安でしかたない。以前はそんな思いをしなくてよかった。全てお前が悪いんだ。雨の日に限らず、いつもお前がそばにいないと落ち着かなくなっちまってる。責任取りやがれ・・・」
これが、精一杯の三蔵の返事だった。
八戒は最初、三蔵の言葉の意味がわからなかった。
けれど、その言葉が自分への返事だと悟ると、なんとも理不尽な、けれども三蔵らしいと、八戒の口元に笑みが浮かんだ。
そして、
「責任でしたら、いくらでも取りますよ。貴方が僕の横にいる限り、僕は責任を取りつづけます。」
三蔵は、八戒の言葉に顔を上げた。紫の瞳に映ったのは、やさしく笑う八戒の顔だった。
「でも・・・」
八戒は言葉を切って、三蔵のいる戸口まで、足を進めた。。
「でも、貴方も責任とってくださいよ。僕だけなんて、ちょっと不公平じゃないですか。僕だって、貴方が傍にいるのがあたり前になってしまってるんですから」
「八戒・・・」
「貴方の存在が、僕の中で日増しに大きくなってくる。今日、久しぶりに雨の日を過ごして、貴方の存在の大きさを改めて感じました。他の誰でもない、貴方じゃないといけないんです。貴方と・・・ひとつになりたいんです。独りじゃなくて、1つになって一人になりたいんです。貴方は僕を受け入れてくれた。僕はもう、我慢しませんよ・・・」
そう言って八戒は静かに口唇を重ねた。
三蔵の乾いた口唇を濡らして、割り開き舌を入れる。三蔵は、初めこそ舌の感触に顔をしかめはしたが、次第に自ら舌を絡めていった。
そんな三蔵の反応に八戒はさらに激しく口唇を貪っていく。時折、焦らすように歯列をなぞり、口唇を甘噛みしては、また舌を絡める。
「は・・・ん・・・ぅ・・・」
三蔵の頭に霧が立ち込め、息苦しさに耳まで赤くし、酸素を求めるように口を開く。瞳はすでに涙で滲んでいた。
脱力した三蔵の体は、八戒にもたれかかるように崩れると、そのまま八戒は三蔵の体を抱きかかえるて、自分のベッドの上へと横たえた。
「八戒・・・?」
三蔵は、虚ろな瞳で八戒を見つめた。だが、その瞳の奥には、不安と恐怖の色が入り混じっていた。
頭ではわかっていても、隅に残る理性がそれを拒否している。
「大丈夫ですよ。僕に全部、任せてくれますか?」
「・・・勝手にしろ・・・」
そうは言うも、不安げな三蔵の顔を見て、八戒は三蔵の額にそっとキスを落とした。
そのまま、耳・頬へキスを落とすと、再び口唇を重ねては舌を絡め上げる。
その間に、三蔵の寝間着がわりに着ていたシャツのボタンを一つずつゆっくりとはずしていく。
全てのボタンをはずし終えると、舌を首筋に這わせて、胸へと顔を下ろしていく。
背筋にゾクリとした感覚が走って、三蔵の躰が強張る。
左右にはだけたシャツの間から覗いた三蔵の白い肌の上を、八戒の舌が、まるで意思をもった生き物のように這いまわる。
「ん・・・ふぅ・・・」
三蔵は、口から飛び出そうな声を、下唇を噛んで必死に堪えている。
「声、聴かせてください。僕だけの、貴方の声を」
「う、るさい・・・、ん・・・」
八戒は苦笑を浮かべながらも、顔を胸の間に埋めると、まだ熟れきっていない左右の果実の片方を口唇で挟んだ。その瞬間、
「・・あんっ・・・!」
三蔵の口から、オクターブ高い嬌声が漏れ出た。
自分の、聞いたことのない声に驚いて、またそれを八戒に聞かれたことへの羞恥から、両手で口を抑えようとしたが、八戒に両手を取られてしまって、それは叶わなかった。
「だめですよ、ちゃんと聴かせてください」
再び、胸の飾りに口を落とすと、含んで舌で転がしていく。
「や・・・ん・・・、ぅ・・・あっ・・・」
果実が成熟していくにつれて、三蔵の口から漏れ出る声も数を増していった。
ぷちりと赤く成熟した果実は、両胸を飾っており、それをさらに指で弾いてはつぶして、そのたびに三蔵は涙にくぐもった声を漏らす。
八戒の手は、三蔵の下腹部に滑り込んでいった。
「・・・あぁっ・・・!」
ズボンの上からでも感じられる三蔵自身に手が触れると、三蔵の背が反り返り、一際高い嬌声が耳に届いた。
器用にベルトをはずして、ズボンを下着ごと剥がしていく。
すでに先走っていた三蔵の先を指で指で拭い取る。
「ん・・・やめっ・・・、ぁん・・・。ちっ・・・」
頭の中が真っ白になり、意識がどこかへ飛びそうになるのを、舌打ちをして振り切る。
だが、八戒は、叢に隠れている三蔵の秘孔に指を押し当てた。
「な・・・八戒・・・、んぁ・・・ふ・・・」
ゆっくりと侵入してくる、少しごつごつした指の不快感に、三蔵はピンクに染まってる躰を捩じらせ、その感触から逃れようとする。
けれども、中でうごめく八戒の指は、三蔵の性感点を敏感に感じ取って、ソコばかりを攻めあげる。
2本・3本と、慣れてきた三蔵の秘部は八戒の指の侵入を許していく。
「三蔵、もっと貴方の気持ちの良いところを教えてください」
「そんな・・・んっ・・・、やめ・・・。や・・・ぁん・・・ぅふ・・・」
三蔵の瞳からは涙が溢れ、ぼんやりとした虚ろな瞳が八戒を見つめる。
愛しげに三蔵の顔を眺めて微笑を漏らすと、三蔵の中から指を抜き出し、ズボンの中で脈を打つ自分自身を取り出すと、三蔵の片足を肩にかけた。
「・・・?・・なにを・・・!」
突然指を抜かれて、空虚感に疼く秘孔を感じながらも、三蔵は目の前に出された八戒のモノの質量に恐怖を覚え、思わず躰をひいた。
「大丈夫ですよ、信じてください・・・」
言って、八戒は三蔵の秘孔に自らのモノを宛がった。
指とは比べ物にならない質量のモノが、秘孔の入り口を押し割って入ってくる。
鈍い痛みが三蔵の躰を襲った。三蔵の顔が苦痛に歪み、喉の奥から搾り出したようなうめき声が、八戒の耳へと届く。
「少し我慢してください・・・」
「ううっ・・・、ん・・・っ・・・!」
足の先が痺れるような感覚に教われ、痙攣している。
ゆっくりと狭い三蔵の中を進んでいく八戒は、ようやく奥まで辿り着くと、来た道をまたゆっくりと戻っていった。
奥まで入れては、入り口まで戻す。
繰り返していくうちに、落に動くようになっていった。
そのリズムに、三蔵の腰も淫らに揺らめく。
繋がっている部分が、そこだけに全身の血が終結しているかのように熱い。
ギシギシとベッドの軋む音が不規則に部屋野中に響き渡る。
そして、双方の荒い息遣いと、三蔵の艶かしい嬌声が互いの耳にこだましていた。
「や、・・・もう・・・んぁぁ・・・、くぅ・・・」
「三蔵・・・」
「ふぁ・・・ん・・・、ぁぁあ・・・・っ!」
熱い蜜が、2人の間にほとばしった───。
────。
ベッドの上。
ぐったりと、2つの人影が横たわっていた。
しっとりと汗に濡れただるい躰を、重力に任せるままにベッドへと預けている。
熱い吐息が情事の名残を示している。
「三蔵・・・、後悔してますか?」
目を開けて、暗い部屋の天上を見つめたまま。横にいる三蔵へ声をかけた。
「なにを後悔するんだ?」
「いえ・・・なんでもありません」
「お前は後悔しているのか?」
「僕ですか?それこそ、なにを後悔するんですか?」
「ふん・・・ならいいじゃねェか」
「そう・・・そうですね───」
しばらくすると、三蔵の規則正しい寝息が聞こえてきた。
八戒は小さな笑いをこぼすと、静かに目を閉じて、夢の中へと入っていった────。
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―了―
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「Cafe Babymilk」(閉鎖)様(正確には旧サイト)にてキリ番を踏んだ時のリクエスト品♪
リク内容は、ズバリ『お初♪(爆)』・・・臆面もなくリクエストした当時の自分万歳(乾笑)。
83は三蔵様がそういう方面の感情に疎く晩熟なのがツボですね♪
黒耀様、本当に有難うございました! |

「懐かしい!」という方も、「こんなサイトあったんだ」という方も、読んだらぽちっと↑
同志の輪を広げましょう♪ |